クラゴンのアメリカ遠征“達人調整ルポ”
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クラゴン レーシングドライバーとして世界最高峰のサーキット、ドイツ・ニュルブルクリンクでのレースで活躍するなど、専門筋をうならせる傍ら、ドラテク鍛練場クラゴン部屋を主宰し、一般ドライバーの運転技術向上にも取り組む。「クラゴン」は日本自動車連盟に正式に登録したドライバー名。ゆるトレーニング歴は約12年。2012年6月のVLN4時間耐久レースで、日本人レーサー史上初のSP4Tクラス優勝を果たす。今回、星瑞枝選手の達人調整担当にあたり、運動総研でトップアスリートへの達人調整に必要な専門知識・実技のトレーニングを受け、専門達人調整員の資格を認定される。「同じスピード系種目」(本人談)の選手支援のため闘志を燃やし単身渡米。 |
クラゴンのアメリカ“クラクラ☆ゴンゴンルポ”
第5回(2012.11.30 掲載)
ワールドカップ2日目はSL(スラローム)です。
前日を越える滑りを目指して、僕も自分のタイムアタックのつもりでレース前の調整に臨みました。
ワールドカップ2日目の種目は、SL(スラローム)。
GS(ジャイアントスラローム)よりも技巧的な能力が要求される。
SLはGS(ジャイアントスラローム)と比べると細かいターンの連続で、F1のサーキットに例えるとモナコグランプリのような低速かつテクニカルな形状といえるでしょう。
要求される能力も、スピードへの対応能力より、技巧的な面が増えるのではないかと推測できます。実際に前日のGSよりも転倒者が多く、特に雪面の荒れるスタート順位後半に集中していました。
前日に引き続き、会場には多くの人々が選手の応援に駆けつけた。
星選手は34位で上位30位の2本目への進出はならず。
ただ、他の選手のタイムを見ると、星選手の数人前からタイムが大きく落ちていて、モーターレーシングなら路面の状態が悪化し、ドライビング以前にタイヤのグリップ力が下がってしまっている状態にも似ていました。人間の実力以前に環境の差があったのではないかなとも推測できます。星選手も明らかにGSよりも滑りにくそうに見えました。
大きなスクリーンに各出場選手の滑走映像とタイムが映し出される。
連日に渡り、しのぎを削る熱戦が繰り広げられた。
レース後の達人調整では、GSのあとよりも疲労が蓄積されている部分が多く、良い動きをするようにすると同時に、大きい負荷を受けた部分を回復させるよう取り組みました。出発前に高岡先生からいただいていた指示は、特に脳疲労を取ることです。
身体を動かして脳が疲労するのは意外かもしれませんが、講座にお越しのみなさんが脳疲労を経験されているように、選手は自分で体現した良い動きで脳疲労をします、僕も経験があってレース後には毎回小脳が痛くなります。
世界最高峰のアルペンスキー大会に世界中のメディアも注目。
それにしても滑った時間はわずか1分程度です。1分で身体と脳が影響を受けてしまうほどの入力があるとは驚かされます。
結果としてはGS、SL共に2本目への進出はなりませんでしたが、現場の声としては「身体はかなり動いているので、ほんのわずかなきっかけで毎回2本目に進出できるようになるはず」と非常にポジティブなものでした。同じ競技選手の僕としても同感で、全てやり切って今の順位ではなく、まだまだ伸び代がある状態で以前の自己ベストを上回っている部分に注目しております。
アスペン市内を幌馬車が通る。
現在、アスペンは多くの富裕層や芸能人が住居や別荘を構え、
高級スキーリゾート地として知られている。
(2012年11月25日/アスペンにて)
第6回(最終回)へ続く>>
クラ☆ゴン調整報告(11月25日) クラゴンです。 クラゴン(11月26日/シルバーソーンにて) |