ホーム > 木上竜二のスイス“ワクワク♪ニコニコルポ” 第4回(2013.1.22 掲載)

木上竜二のスイス遠征“達人調整ルポ”

木上竜二(きがみ りゅうじ)

運動総研専門達人調整員。運動総研にて、2011年よりゆる体操やゆるトレーニングに取り組むお客様を対象にした「達人調整個人施術」を開始、調整を受けた多くの方より支持される。トップアスリートへの達人調整に必要な専門知識・術技能力を備えた専門達人調整員の資格を認定され、現在はトップ若手歌舞伎役者やトップアスリートを中心に達人調整を施術。ゆるトレーニング歴は約15年。1998年より高岡英夫が主宰する極意武術協会に入門し、武術の稽古にも励んでいる。趣味は料理、歌を歌うこと。

木上竜二のスイス“ワクワク♪ニコニコルポ”
第4回/最終回(2013.1.22 掲載)


 5日目です。今日は試合の日です。

 朝6時から達人調整を開始。1時間ていねいに調整をしてから試合に送り出しました。

 ここから昼の15時まで時間が空いているので、ちょっと外を散歩してこようと思ったのですが、あいにくの雪。ザルナー湖が近く、移動中に車窓から見た風景が大変素晴らしかったので、ゆるウォークにはもってこいだなと思っていたのですが……、雪に雨も混じって、とても散歩する気分になれません。

 これは「ちゃんとトレーニングしなさい」ということだと思い、寝ゆるを中心に時間をたっぷりとかけて脊椎と肋骨を一本一本ゆるめるトレーニングをこちらもまたていねいに行いました。

  • 2013年達人調整ルポ
  • 外はあいにくの雪のため、室内でたっぷりとトレーニング
    脊椎と肋骨を丁寧にゆるめ、午後の星選手の調整に備える

 脳疲労もかなりたまっていたので、さまざまなアプローチから脳疲労を解消していき、ひと心地がつきました。

  • 2013年達人調整ルポ
  • ホテルの部屋にある椅子を使って脳疲労をスッキリ解消

 15時ころに星選手が帰ってきて、ふたたび達人調整。

 今日の結果は30位近辺だったそうで、本人いわく、身体は動くが滑れていない、とのこと。身体がよくなっているように見えるのに対して、具体的技術がうまくかみ合ってきていないのか、脳疲労の問題があるのか……。とりあえず達人調整師でスキーの専門家ではない自分としては、調整でベストを尽くして、あとは本人に能力を発揮してもらう他ありません。調整の時間が僕の勝負です。

 夕方に2時間、夜に30分ほど調整して5日目が終了です。

(2013年1月10日/ザルネンにて)



 6日目です。

 明日、帰国するので、今日が達人調整を施術する最終日となります。

 いつもは午前中から試合が始まるのですが、今日はナイターだそうです。どうやら主催者の意向で、仕事が終ってから見に行きたい、という人々のために夜の開催にしたらしいです。

 そのおかげで、朝は時間に余裕を持って達人調整ができました。

 下背から腰の上部にかけての硬さが気になる、ということだったので、そこを重点的に調整しました。実際に滑っている動画を見せてもらうと、たしかにそのあたりが固まって前方力を阻害している感じがあります。どうしてもゆるめたい部分ではありますが、なかなか強力な硬さだったので、じっくりと時間をかけて、解きほぐしました。

 身体の調子としては、今回の遠征で一番よくなったと思います。

 昼前には調整が終わり、昼食を食べてから、ちょっと散歩にでもいこうかな、と外を見ると、今日も雪……。

  • 2013年達人調整ルポ
  • 外を見れば、今日も雪……

 仕方ないので、部屋で報告書を書いていたら、気がつけば15時過ぎ。

 窓の外を見ると、小降りになってきたので、これなら大丈夫だろうと思い、外に出ることにしました。

 小雪の舞う中、ザルナー湖まで散歩。外の気温は3度あるかないかくらいでしたが、あまり寒く感じません。前回来たときに星選手が、こちらは湿度が低いのでカラッとしてあまり寒く感じない、と言っていたのですが、今日のザルネンはまさにそのような気候でなるほどと思いました。

  • 2013年達人調整ルポ
  • 小雪が舞う中、寂しげながらも美しい風景が広がる“ザルナー湖”

 10分ほどで到着。雪雲の下のザルナー湖は、景色はいいけれどもなんとも寂しい感じです。湖の周辺にある山々も、雲に隠れてうっすらとしか見えませんでした。ザルネン(残念)!

 ナイターの試合が終わって、ジャパンスキーチームが帰ってきたのが22時頃。それから荷物を運んだりして、結局、達人調整を始めたのが23時20分。そこから1時間ほど調整を行いました。

 今日の試合も攻める滑りがいまひとつということでしたが、身体の調子は確実に上がってきているように感じます。懸案だった脳疲労はだいぶ回復したと思いますが、うまい具合に結果に結びついて欲しいと祈りつつ、今回の調整は終了となりました。

 明日は帰国の日です。

 ザルネンからチューリッヒまで移動して、そこから飛行機で成田まで飛びます。

(2013年1月11日/ザルネンにて)



 最終日です。

 昨晩は調整の終了時刻が24時をすぎ、そのあとで報告書の作成、荷造り、鉄道ダイヤの最終確認をしたため、結局、床に就いたのが26時近くになってしまいました。

 朝方、隣の部屋の物音で目を覚まし、テーブルに置いた腕時計を見てみたら、7時40分! チェックアウトの予定が8時でしたので、「寝坊したか!」と思い、飛び起きました。ところが、電灯をつけてあらためて時計を確認してみたら、6時40分。1時間勘違いしていたというオチでした。3回分もセットした携帯のアラームが、1回も鳴らなかったんだから、当然といえば当然ですよね。脳疲労がたまると、こんな些細なミスも起こります(でも寝坊じゃなくて良かったです)。

 時間は大丈夫だということがわかり、ホッとしたので、ゆっくりとシャワーを浴び、身支度をしてチェックアウト。

 星選手をはじめとしたジャパンスキーチームの選手、そして大変お世話になった岡田コーチに感謝の言葉と別れの挨拶をして、ザルネン駅へ。

 ザルネン駅から電車で乗換え駅のルツェルン(Luzern)まで約20分、そこからチューリッヒ国際空港駅まで1時間ちょっと。朝早い時間帯ということで、通勤ラッシュとかに巻き込まれたら面倒だと思っていたところ、そもそも通勤ラッシュというものがないようで、ゆったりと席に座って移動できました。自宅と職場が近いのが普通なのか、それとも車社会なのかはわかりませんが、通勤ラッシュがあたりまえの自分にとっては衝撃的な出来事でした。もっとも他の国から見たら、日本の通勤ラッシュのほうがずっと衝撃的なんでしょうけど。

 流れていく美しい山々、街並みを堪能していたら、あっというまに空港駅に着いていました。

 前回の遠征では、フライトが3時間ほど遅れて、だいぶ時間を潰しましたが、今回はそういったこともなく、スムーズに搭乗。そして一路、成田へ。さようならスイス。機会があったら、今度は観光旅行でぜひ来たいですね。

  • 2013年達人調整ルポ
  • 約1週間の遠征調整を終え、スイスを発つ

 しかし、まさか自分がヨーロッパまで行って世界を相手に戦っている選手を調整するということになろうとは、去年の今ごろはまったく想像もしていませんでした。人生、何があるかわかりません。もともと特にこれといった才能もなく、学生時代、体育の成績は5段階評価で3以上を取ったことのない自分が、こういった機会に恵まれるのも、地道にゆるトレーニングを積み重ねてきたからこそだと思います。

 もちろん、その前提として高岡先生という類まれなる師に出会えたという幸運があり、また極意武術協会の仲間との切磋琢磨があってのことです。

 最後に、今回の遠征にあたり、ご指導・ご指示、そして前回ともども貴重な機会を与えてくださった高岡先生、現地でのサポートをしていただいたジャパンスキーチームの岡田コーチ、そして色々とバックアップをしてくれた運動総研のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

 これからもこういった機会に、より一層素晴らしい達人調整ができるよう、一層鍛錬に励んでいきたいと思います。

(2013年1月13日/東京にて)


- おわり -

木上竜二の調整報告(1月10日)



<6:15~7:15> 達人調整

・拘束背柱崩し
・背柱渦巻崩し
・座椅子背柱足底崩し
・拘束背芯崩し
・足先背芯崩し
・首頚開き
・手巾脳洗法
・肩甲押しほぐし
・肩甲はがし
・吊腕抜き
・肩包はがし
・腕甲回外抜崩法
・腰背踵崩し
・側腰踵崩し
・外腿踵崩し
・腰背崩し
・仙波崩し
・側腰崩し
・側腰転子回法
・外腿崩し
・座椅子下裏腿崩し
・脛腿崩し
・吊脚閉側芯崩し
・脊椎通し
・裏転子促神法
・ウナ打通法


<16:00~18:20> 達人調整

・拘束背柱崩し
・背柱渦巻崩し
・座椅子背柱足底崩し
・拘束背芯崩し
・足先背芯崩し
・肩甲押しほぐし
・首頚開き
・手巾脳洗法
・腰背踵崩し
・側腰踵崩し
・外腿踵崩し
・腰背崩し
・仙波崩し
・前側腰崩し
・横臥外腿螺旋崩し
・側腰崩し
・側腰転子回法
・外腿崩し
・座椅子下裏腿崩し
・下腿振波
・脛腿崩し
・足内三戦乗法
・吊脚閉側芯崩し
・脊椎通し
・裏転子促神法
・ウナ打通法


<21:00~21:30> 達人調整

・拘束背柱崩し
・背柱渦巻崩し
・座椅子背柱足底崩し
・拘束背芯崩し
・足先背芯崩し
・首頚開き
・手巾脳洗法
・仙波崩し
・下腿振波
・脛腿崩し
・吊脚閉側芯崩し
・脊椎通し
・裏転子促神法
・ウナ打通法


木上竜二(1月10日/ザルネンにて)

木上竜二の調整報告(1月11日)



<9:30~11:00> 達人調整

・拘束背柱崩し
・背柱渦巻崩し
・座椅子背柱足底崩し
・拘束背芯崩し
・足先背芯崩し
・首頚開き
・手巾脳洗法
・僧帽崩し
・肩甲押しほぐし
・肩甲はがし
・吊腕抜き
・肩包はがし
・腕甲回外抜崩法
・腰背踵崩し
・側腰踵崩し
・外腿踵崩し
・腰背崩し
・仙波崩し
・屈膝腰仙回法
・下腹渦巻崩し
・前側腰崩し
・横臥外腿螺旋崩し
・側腰崩し
・側腰転子回法
・外腿崩し
・座椅子下裏腿崩し
・下腿振波
・脛腿崩し
・足内三戦乗法
・吊脚閉側芯崩し
・脊椎通し
・裏転子促神法
・ウナ打通法



<23:20~0:20> 達人調整

・拘束背柱崩し
・背柱渦巻崩し
・座椅子背柱足底崩し
・拘束背芯崩し
・足先背芯崩し
・首頚開き
・手巾脳洗法
・肩甲押しほぐし
・肩包はがし
・腰背踵崩し
・腰背崩し
・仙波崩し
・横臥外腿螺旋崩し
・側腰崩し
・側腰転子回法
・外腿崩し
・座椅子下裏腿崩し
・下腿振波
・脛腿崩し
・足内三戦乗法
・茶巾絞り
・吊脚閉側芯崩し
・脊椎通し
・裏転子促神法
・ウナ打通法



木上竜二(1月11日/ザルネンにて)

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