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高岡英夫の新刊座談会

【発売たちまち増刷決定!】

高岡英夫の新刊『宮本武蔵は、なぜ強かったのか?』座談会

【座談会参加者】

高岡英夫

(運動科学総合研究所所長/
『宮本武蔵は、なぜ強かったのか?』 著者)

  • 荒木孝二さん
  • 荒木孝二さん
  • (ゆる体操指導員
    /剣道五段)
  • 藤野安宏さん
  • 藤野安宏さん
  • (製薬会社営業職
    /極意武術協会)
  • 山本昌宏さん
  • 山本昌宏さん
  • (高等学校教員
    /極意武術協会)
  • 小竹志郎さん
  • 小竹志郎さん
  • (整形外科医/
    ゆる体操指導員)
  • 武上良治さん
  • 武上良治さん
  • (小児科医/
    剣道三段)

高岡英夫の新刊座談会(8)(2009.07.28 掲載)

みんなが簡単だと思っているゆる体操の初歩が、武蔵の究極の奥義・極意に通ずる

小竹 強くなるためのゆる体操といえば、別に武術でなくても、会社の中の仕事で実力を発揮していくという道も考えられますね。つまり社会的に強くなるということです。

 それと先ほどから武蔵を理解するためにゆる体操が必要だという視点で話し合ってきましたが、逆にゆる体操を理解してもらうために武蔵の存在が必要だという視点でも捉えられたら面白いですね。

武上 剣聖の剣の講座で実習した方ならご理解いただけると思いますけど、剣聖の剣の最重要メソッドが、ゆる体操の発展系だったということには驚きますよね。内心笑い転げるような思いですが、ゆる体操教室の初めに習う、みんなが簡単なものだと思っているまさにゆる体操の初歩に、武蔵の究極の奥義・極意に通ずる要素があるなんて、これほどの驚きはないというくらいに辻褄が合っています。

高岡 そうなんだよね。

武上 『五輪書』は最強を目指すためだけの本に思われながらも、本当は誰のためにも役立つ本だったということが判明した。ゆる体操は今は一般向けと思われながらも、最強を目指す人にも役に立つということが判明した。

藤野 誰でも簡単にできるというのが、今までのゆる体操のフレーズであり、コンセプトでした。それが誰もが強くなる、優秀になるためのインフラになりうるということですよね。その1つの最高峰の具体例が宮本武蔵で、武術的な強さとか、精神的な強さを突き詰めていくと、すべてはゆるんでいるからという、根底をうがつ結論に行き着く。

高岡 強くなる、優秀になるゆる体操か…、いいですね。

我々は偽物に影響されながら、自分が形成されている恐ろしさに気が付いていない

藤野 居着きについて高岡先生が『武蔵本』で指摘されている、昨今のTVアナウンサーのしゃべり方は、とても大きいですよね。

高岡 可哀想な表現になりますが、何もわかってないんでしょうね、TVに登場する今のアナウンサーやタレントは。彼らのしゃべっている音波が、何千万倍にも拡大されて、社会中に伝わっていくことの恐ろしさを十分に自覚できていない。

小竹 実際、それがTVというものの信用の無さをこの数十年で一気に作ってしまったのでしょう。

高岡 でも我々はその信用できないTVに振り回されてるのです。信用のないものだったら、何の影響もされないのかというとじつは大きく影響されてるんですよ。

 たとえば料理店の話でいえば、適当にまずいものを作っておいて、店構えや料理の名前を変えて、売れるためのテクニックでごまかしたりする。下手をすると、そこにわかったような顔をしたお客さんが来て楽しそうに食べている。あんまり美味しいところは、じつはあまり売れない。現代人の大半の人々は、美味しいだけの店は一回行って食べたら飽きちゃうんです。これは本当の話です。

 「これぐらいのまずさの店がちょうどいい、何度でも来たくなる。自分は何度でも来てる」って、言っている人がいますよね。非常に真理をつきながら、とんでもないところに自分が追いやられてるっていうことに気が付いてないんでしょう。本当に怖い話ですが、偽者に影響されあってるんですよ。つまり偽物に影響されながら、自分というものが形成されているというその恐ろしさの根幹に気が付かない。この偽文化形成ごっこは、いまに大変な結果をもたらすことになりますよ。

 それは昨今、増えている無差別殺人や動機なし殺人を見ればわかりますが、誰かを殺さずにはいられないという思いで殺してみたら、「別にたいしたことなかった」というとんでもない話になっちゃうわけです。そこが到着地点。偽者同士で影響しあってると、どんどんどんどん引き返せないところに行ってしまうのです。

山本 少しでも身体のことを深く感じられたら、そんな考えを浮かべることもできないと思うんですけど。殺した後に「ああ、なんで自分はこんなことやってしまったんだろう」と強烈な後悔に襲われるのではないでしょうか。

高岡 山本君の率直な感想は、その通りなんだと思うんです。だから、私たちに残された危機を脱する、回復させる手立ては、もう身体しかないんですよ。ここにはお医者さんが二人もいるけど、その身体というものがのっぴきならない自然そのものなんです。どんなに改変しようがしきれないものがあって、それが自然性というものなんです。どんなに身体性が失われたとしても、自然としての存在である身体は決して失うことができない。ここが非常に大事なポイントです。

 もし身体と肉体に哲学的に分けるなら、それはまさしく肉体ということになるでしょう。肉体こそ最後の砦になるでしょうね。身体ではなく肉体。切れば血が出る、疲労物質が溜まれば疲労感が生じ、筋肉痛をもたらす。だから肉体といかに深く結びつく精神性を作れるかが、きわめて大事な根本裡になってくる。

亜流でもものまねでも徹底的にゆる体操に真似て、社会に普及してもらわないとだめ

小竹 TVでもパソコンでも身体から離れたものであればあるほど、おかしなことが起きていますよね。私は医者、つまり「からだ屋」ということですけれど、そのからだ屋がゆる体操を取り入れてしまうと、じつはやることがなくなってしまうんです。

 先週から、ゆる体操指導員に診察室に入ってもらっているんですが、「後はお任せ」で終わってしまうんです。レントゲンだけ撮影して、隣り行って下さいと言うと患者さんは向こうの部屋で一時間くらい楽しそうに体操をやってる。私は仕事ないなーって(笑い)。あとの仕事は私に聞くより彼らの方がわかってるし、もしかしてけっこうバッタバッタと、僕は斬られてるのかと(笑い)。

高岡 そして、斬られて楽しい、と。(笑い)。

小竹 はい、非常に楽しくやっています(笑)。ただ気を付けないといけないのは、先ほど高岡先生がおっしゃったように本物を出したら、本物は本物であるだけに店は潰れるかもしれないという、現代という時代との兼ね合いをどうするかが、すごく難しいですね。

高岡 それが本当の意味での経営ですよ。でたらめなものを並べて、騙くらかして、こうやればたくさんお客さんが来るといって、お金を儲けているのは経営ではないでしょう。

藤野 それに長続きしないですよね。そういうものは一時期のブームで終わってしまうし、長続きしない。特に今の世の中いうのは、終わっては出て、終わっては出ての繰り返しになっていますから、もっと本質的ないい種を蒔かないといけないと思います。

小竹 本物だからこそちゃんと生き延びて、中心に据えて広がっていくというのが大事なんですよね。最近、書店やオンライン書店では「ゆる体操」によく似た傾向の本がすごく増えています。「ゆる」が普及しているという意味では良いことだと思うんですが、逆に数に埋もれてしまうんですね。あれを喜ぶべきなのか、苦々しく思うべきなのか、判断が難しいところです。

高岡 いや、徹底的にそうやって社会に普及してもらわないとだめですよ。亜流でも、ものまねでもどんどんやってもらわないと、それでもまだまだ全然足りない。もっと偽物を広めてもらわなくっちゃ(笑い)。そのためにあれだけ本を書いて、Nidoさんにテレビ出演してもらったんですよ。Nidoさんは「私、最高にこういうこと嫌いなの知ってるでしょ?」と言い続けてきたんですけど、私は「よーく知ってる。頼むからやってくれ」と懇願してやり続けてもらったのですから。

藤野 Nidoさんは、全部完璧にやりきりましたからね。

高岡 時々、彼女が過去に出演した映像を見たりするけど、完璧に出来ていますよ。

藤野 一人の体操指導者が短期間の間にあれだけの大物たちと、共演したということは、おそらくないんじゃないですか?

高岡 ないね。何しろゆる体操は、武蔵の武術のエッセンスですからね。武道・武術をやっている人がゆる体操をやると、実際に目に見えて強くなる。どちらの例も、ゆる体操の秘められた力強さにとんでもない奥行きと広がりがあることの実証ですよ。

13歳のピークからまだずっと生きてる分だけ上達してたとしたら凄いことになっていた

小竹 武蔵と真剣勝負を繰り広げた相手は、武蔵が歴史に残る人物だなんて知らずに斬られてるわけですよね。たいていの場合「絶対、俺のほうが強いぜ」と信じて、戦っているわけですよね。もしそのときに相手が、後に伝説の達人と言われる人物とやり合っているとあらかじめ分かっていたら、逃げるでしょう、普通。

高岡 当然だね。最終的な結果を知ったらね。ああ、やばいとなる。

小竹 相手が普通に武蔵と戦ってしまったのは知らなかったからで、「俺が絶対強いぜ」と挑んだら、「気持ちよく」「うらやかな顔」があったんでしょうね。

高岡 13歳のときほどじゃないんだけどね。13歳の時は私でも表現し尽くせないほどだったんだろうなぁと思います。私が「かったるそうに」って、『武蔵本』で表現しておいたんだけど、「ズルズル〜と棒を引きずって、かったるそうに相手に近づき、一瞬にして叩き伏せて、とどめを刺した」というより他に言いようがない。

小竹 数え年ですから、今でいうと12歳くらいですね。小学校6年生くらい。

武上 「おじさんやるの?」みたいにズルズルと、ですか。なんか想像すると楽しいですね。

高岡 言葉がないんだよね。子供、無垢ですからね。あの無垢な状態、心境というのを伝えるのは難しいのです。

山本 13歳のときに、もしゆる体操か、ゆる体操に代わるものがあればさらに上達していたわけですね。すごくもったいない。

武上 それに、60何回も決闘しなくても済んだかもしれない。

山本 その武蔵の13歳のピークからまだずっと生きてる分だけ上達してたとしたら…、想像するだけで凄いことになっていた。

高岡 はるかに大きな、しかも優れた仕事が出来ていたでしょうからね。繰り返しになりますが、ここのところが何よりも重要です。より優れた社会をつくるために。

男たちよ救われよ、残された数少ないチャンスだぞ

山本 私の中では、この『武蔵本』が『究極の身体』とセットになっています。

武上 トレーニングするもの、そして日常生活に活かすもののバイブルですね。

高岡 でしょ。『武蔵本』は『究極の身体』と比較すると、その具体論なんだよね。

山本 『究極の身体』はどちらかといえば、一般論ですものね。

藤野 『武蔵本』は読んで救われるという感じの本でした。

山本 私もどんどん確信を与えられています。どんどんこの方向で行けばいいんだと腑に落ちました。

武上 元気になるし、希望を持たせてくれますね。この平和的なメソッドでも、人は至れるんだということ。戦争と貧困の20世紀をどうやって乗り越えて生きていくかということも…

高岡 それは、もうゆる体操しかない。荒木君、どうかな「最強になるためのゆる体操」は。

荒木 武術家としてもゆる体操指導者としても、周りの人にもっと広めたいですね。

高岡 じゃあ、どこかのカルチャーに頼んで「最強になるためのゆる体操」というのを始めますか(笑い)?

荒木 はい。対象は男性と高岡先生がおっしゃられましたけど、女性が今来られているのは、主に健康のためです。そうではなくて女性がさらに上に行ける、そういうキャッチフレーズを考えたいですね。女性が健康のために来て、健康になって帰るだけではなくて、もっと優れた存在にスケールアップするためのゆる体操。

山本 「しなやかに強くなる」というフレーズはどうでしょうね。

荒木 なるほど、いいですね。

武上 あと奥様方が元気になれば、旦那さんも元気になるというアプローチはどうでしょうか。

小竹 でも男性にはちょっとやそっとじゃ効かないんですよ。10分の診察後にゆる体操を教えたら、「どこの筋肉を鍛えたらいいんですか?」って聞かれてしまう(笑い)。

藤野 今の男たちは本当に固いですよ。定年したら別れたいという女性が多いのも、無理ない部分がありますよね。

小竹 その男たちのパワーアップ信仰には、これ(『武蔵本』)でしょう。

武上 男は、基本的に『五輪書』が好きですからね。

高岡 うん。そう思うね。武蔵は万感の思いを込めて、水の巻を書いたと、本に書いたじゃないですか。私も「男たちよ、男たちよ、救われよ。救われてほしい、男たちよ。残された数少ないチャンスだぞ。これだけはっきりとした印象を持ったメッセージ(武蔵本)は、なかなか出せないよ」ってね(笑い)。

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高岡英夫指導セミナー 「剣聖の剣・宮本武蔵」

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